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「困ってるひと」はなぜ明るくあるのか

 

大野更紗「困ってるひと」という文庫本を読んでます。

困ってるひと (ポプラ文庫)

困ってるひと (ポプラ文庫)

ハードカバーで出た時に結構売れた本なので、ご存知の方も多いと思いますが
難病を発症した女性が、その病気治療を通して日本の福祉の状況を
弱者の立場として痛感する、という話。
(まだ最後まで読んでないので、結局そういう話じゃないかも、ですが)
かなり面白い。

ルポとして面白い、という意味ももちろんなのですが
単純に面白おかしく書いてあって、笑えるという意味でも面白い。

そこでふと思った。

なぜ、これほどの大変な体験を笑いで包もうと思うのか。
そういえば、と自分が入院した時のことを思い出した。

実は、病院の中は結構ユーモアがあふれています。

僕の場合は難病ではなかったのですが、まあそれでも
2ヶ月程度の入院を要するものでした。

手術が終わってしばらくは、点滴やら尿管やらドレインやら、
なんかやたらと体から管が伸びている。

それを見て看護師さんが
「こーゆうのをね、スパゲッティ症候群って言うのよ」だって。
もちろん冗談なんですけど。

部外者が聞いたら、不謹慎だ って勝手に患者になりかわって怒りそうな話。
だけど、病棟では珍しい話じゃない。
患者の側も、笑ってる。

その他にも、点滴のボトルに毎回いろいろ絵を書いて来てくれたり
体重を張り合ったり(点滴で暮らしてる患者と健康体の看護婦が・・・)
結構、楽しくやってました。


あれは、なんのためだったんだろうか。
それは、「冷静になるため」ではないか。

やっぱり入院するほどの病気ってのはしんどいし、深刻になる場合もある。
でも、深刻になるっていうのは、不安とか悲観とか、
心が現状をネガティブに膨らませてしまったもの。

病気ってのは、現状を正しく受け止めたうえで、
それでも前を向いて治療していかなければならない。

楽しくやってると、深刻になりすぎず、
「事実や現状を、それ以上でも以下でもなく、あるがままに」受け止めることができる。
というように、思います。

もちろん患者はいつも明るくいられるわけじゃないけれど。
でもそのために、看護師さんはいつも明るい。
すげえことだなあ、と思います。