コンピューターが星新一を超えるために一番大事なもの

 

こんなニュースがありましたね。
「コンピュータは星新一を超えられるか」 人工知能でショートショート自動生成、プロジェクトが始動 - ITmedia ニュース

星新一が作品を生み出す手法を解析してコンピューターに学習させ、
星作品より良いものが作れるか挑戦しよう、というもの。

小学生の頃、星新一を読み漁っていた身としては、
なかなか感情的に反応しちゃうニュースです。
冒涜じゃないか、ってね。
でもまあ、プロジェクト名からして星作品への愛は感じるし
科学の挑戦を感情論で潰すのほど馬鹿らしいことはないので
感情的な矛はおさめるとして。

素朴な疑問がひとつ。

星新一の作品と、作品を生み出す方法を徹底的に解析して
それを元に良い作品ができたとして、
それは「星新一を超えた」と言えるのか?
言えないだろ。
せいぜい 星新一クローン だ。

ふと、将棋でコンピューターが人間に勝った、ってニュースを
思い出した。
清水女流王将に勝ったとか、米長永世棋聖に勝ったとか。
あれも違和感感じたよな。
並列処理で計算したり、複数のプログラムで出した手を持ち寄って
一番いい手を決めたり。
人間に置き換えたら、6人で1人に対戦してるってことだ。
そんなんで勝ったとか言われても。
ほんと、ニュースは鵜呑みにできないね。

話が横にそれましたが。
ニュースの見出しはそのまま信じないにしても
コンピューターが人間を超えるってどういうことなんだろうか。

今度は、capsuleってミュージシャンを思い出した。
ご存じperfumeのプロデューサー、中田ヤスタカ氏が
以前からやってるユニットです。
その初期のシングル「東京喫茶」。
当時買ったんですけど、これがちょっと引くほど
ピチカートファイブそっくりなんですよ。
だけど今では、ダンス・エレクトロニカのユニットとして
知られてるわけです。

ということは。
人間だって最初は真似から入る。
肝心なのは、そこからオリジナリティのある方へ脱皮できるかどうか。

つまり冒頭のプロジェクトで言えば、
星新一とは全く違うテイストの面白い作品を生み出せるかどうか。

それで初めて、星新一を超えたと言えるんじゃないかな。

では星新一クローンのコンピューターがオリジナリティを持つに至るには
何が必要か。

結局、人間によるフィードバックでしょう。
コンピューターが例えば作品を千篇つくる。
それを人間が読んで、ひとつづつ点数をつける。
コンピューターはその評価を聞いて、高得点の作品を作った方法をもとに
より高い評価が得られるように
作品の書き方に修正を加えていく、というわけです。

つまり。
星新一とは別のテイストのオリジナリティを持てるかどうか、
脱皮できるかどうかは、
「人間がどんな作品に高い点数をつけるか」なんです。
こりゃ無理だろうな〜。

星新一をよく読んでる人が、
星新一っぽい作品よりも、まったく別のテイストの作品に
「面白い」と高得点をつけるか?
つけたとしても、星新一から脱却できるだけで、
今度はその評価者のクローンになるだけでは?

結局、お釈迦様の手のひらの孫悟空みたいなもんです。

人間が、「人間を超える存在」を評価するのは無理じゃないでしょうかね。
自己言及のパラドックス とか ゲーデル不完全性定理ってのを
思い出しました。
不完全性定理 - 哲学的な何か、あと科学とか


こんなこと書きましたけど、プロジェクト自体は応援します。
面白そうですしね。
これが進化したら、例えば
きゃりーぱみゅぱみゅ村上春樹風の自伝を出版、なんてことが
できるようになっちゃいますね。

いや〜、しかしホント、評価の仕方次第ですよ、このプロジェクト。