ぎゃーてい、ぎゃーてい。意味わかんなくてもいいんだけど、わかった時の衝撃。100分de名著 般若心経レビュー

 

最近、ちょいちょいネットでも目にする般若心経。
しばらく前、こんな新訳も話題になりましたね。

【般若心経ロックについた現代語訳】
超スゲェ楽になれる方法を知りたいか?
誰でも幸せに生きる方法のヒントだ
もっと力を抜いて楽になるんだ。
苦しみも辛さも全てはいい加減な幻さ、安心しろよ。

この世は空しいモンだ、
痛みも悲しみも最初から空っぽなのさ。
この世は変わり行くモンだ。
苦を楽に変える事だって出来る。
汚れることもありゃ背負い込む事だってある
(以下略。オリジナルはニコニコ動画なのでリンク割愛します)

そんなわけでちょっと気になってたところへ、こんな本と出会いました。

NHK「100分de名著」ブックス 般若心経

NHK「100分de名著」ブックス 般若心経

面白かった。

これはどういう本なのか

この本は、般若心経をしっかり理解するために、お釈迦様が作った仏教と般若心経の違いについて、比較しながら説明が進む。
このお陰で、まず仏教や般若心経のベースとなる考え方をつかむ事ができるんです。

冒頭の現代語訳を読めば、だいたいどういう事を言っているかは分かるようになる。
だけど、なぜそんな事を言っているか、なぜ色即是空なんて言わなきゃならなかったかは、背景を理解しないと分からない。
この本は、そこから、いやむしろその背景を中心に説明してくれるわけです。

これがもう、すごく深く、新しくて驚くんです。


この世界は何でできているか?
私とは何か?
といった近代科学、哲学みたいな内容もあるし、
自分の感情をコントロールする術
といった、最近のビジネス書みたいな内容もある。

原子とか分子の存在なんて誰も知らないし、フランクリンコヴィーやデルカーネギーの本があったわけでもないのに、それらに近い話が既に組み立てられていた。

もう驚きですよ。釈迦という人はどんだけ頭よかったんだ。現代のビジネス書なんて何千年も前の思想の焼き直し。ビジネス書の新刊買うより、お寺に行って説法聞いてる方がよほどええんちゃうかと思えてしまう。さすがは何千年も残ってるだけはある。

しかし仏教がこんなに理論的なものだとは知らなかった。それを知るだけでも、面白い。ただ知的興奮を得るためだけに読んでもいいくらい。
そんな本です。

結局般若心経とはどういうものなのか

それだけでは何も中身が分からないと思うので、本を読んで得た、私の般若心経に対する解釈を書いておきます。

まず「生きるってしんどいよね」という前提がある。
そのうえで仏教とは「この世をどう解釈するか」という考え方を体型的にまとめたもの。
概念あるいはこの世の定義づけとも言える。

その定義を確立することにより、楽になる方法が生み出せる。
こういう仕組みになってるから苦しいんだ。だからこうしたら楽になるよね、という。
問題を定義出来るから、解が出せる、と言っても良いかもしれない。

その問題とは、六道輪廻。
死んでこの世からおさらばしても、別の世界に生まれ変わるだけなので、その別の世界でまた苦しい思いをしなきゃならない。たとえ極楽に生まれ変わったとしても、永遠に極楽にいられるわけではない。もう二度と苦しい思いをしないためには、生まれ変わりのサイクルから抜けて、涅槃(ニルヴァーナ)という状況に入らなければならない。

じゃあどうやったら涅槃に入れるのか。

般若心経では、呪文を唱えれば良いぜ!てことらしい。

なんかいきなりライトな話になってきたけど、それが大事。

だってヘヴィーな修行なんて庶民にはできないから。
ヘヴィーな修行をしないと救われないよ、という考え方では、庶民は救われないのだ。
修行するような強靭な精神も持ってないし、庶民なりに守らなきゃいけないものがいろいろあるから、全て捨てて出家なんてそうそうできないしさ。
それでも救いは欲しいし。

そんなとき、般若心経はこう語りかけてくれる。

この世の全ては無なんだから、心を落ち着けてこの呪文を唱えさえすれば、大丈夫。
「ぎゃーていぎゃーてい はーらーぎゃーてい
はらそーぎゃーてい ぼーじーそわか」
(呪文なので、この言葉自体に意味はない)

これなんだよね。
「こうすれば大丈夫」それを伝えるために般若心経はあるんだと思います。


そんなわけでなかなか、お勧めの本です。Kindle版なら安いし、ぜひ。